ネバーランド
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コラム

日々想うことなどをお届けします。

江國香織さん

2004/01/26
寝るのには勿体なくて、仕事をするのには頭が疲れている、そんな秋の夜長に、江國香織さんのエッセイ集を手にしました。あの「冷静と情熱・・」の作者で、書いた本が次々売れる人気作家、とその程度のことは知っていましたが、実際にその文章を読んだことはありませんでした。娘が気に入って買い足したであろう、少女趣味な装丁の文庫本を、ちょっと覗いてみたくなりました。
私は、記憶に残る幼少の頃から、本が大好きで、たくさんのお話を、まるでおやつやご飯を食べるように、とても自然に読み続けました。高校生から大学生になる頃まで、この乱読の習慣は続きましたが、年齢を重ねるに従い、読書時間は少なくなり、特に小説への関心は減りました。オトナになって食欲が安定するように、活字への欲求がほどほどに落ち着き、いつしか美味しいものだけを食べたい、と感じるようになったのでしょうか。そして現実の生活が、小説より数段変化とスピードに富んでいてミステリアスだから、お話の世界が物足りなくなったのでしょうか。
江國さんの文章は、スルスルと快く身体に染み込む懐かしさがあちこちにあって、時折「フフ」と笑いながら、いつしか私を眠りの世界に誘ってくれました。今年に入り、江國さんの新しい短編小説「号泣する・・」を読みたいと思っているうちに直木賞の発表があり、江國香織さん受賞のニュースを聞きました。早速本屋さんで念願の「号泣する・・」を購入、またスルスル&「フフフ」の世界に引きずり込まれ、美味な食感をたっぷりと味わいました。
充実した内容を文章で表現できる人、明確な真実を言葉に載せられる人、言葉を使って美しい描写のできる人、読者の気持ちを豊かにできる人、そういう人たちは素晴らしいと、素敵な本に巡り会うたびに感じます。

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